「バングラデシュで会社を作るには何が必要か」——ネットで調べても、英語の制度解説か、ありきたりな進出ガイドしか出てこない。実際に登録した人間が、実際の費用・期間・苦労を公開している情報はほとんど存在しない。
本記事では、実際にバングラデシュで中古車輸出ビジネスのための事業登録を行った実体験を、すべて正直に公開する。
期間
※弁護士費用別
事業形態
01なぜ「個人事業(Proprietorship)」を選んだのか
バングラデシュで事業を始める際、まず決めるべきは事業形態だ。主な選択肢は個人事業(Proprietorship)・パートナーシップ・株式会社(Private Limited Company)の3つ。
つまり「現地の信頼できる人物名義で個人事業を立てる」という形だ。これは外国人が単独で株式会社を立てるよりもシンプルだが、その分「誰の名義で事業を行うか」という信頼関係が事業の根幹になる。前回の記事で触れた「現地ネットワークが命」という話が、ここでもそのまま当てはまる。
- 個人事業(Proprietorship):手続きが比較的簡単。現地人名義での運営が基本。今回採用した形態。
- パートナーシップ:複数人での共同経営。出資比率や役割分担を契約で明確化する必要がある。
- 株式会社(Private Limited Company):外国人が本格的に進出する場合の標準形態。RJSC(会社登記局)への登録が必要で、より複雑だが法人としての信用度は高い。
02登録までの4ヶ月——タイムライン
事業登録および関連する手続きを完了するまで約4ヶ月かかった。
03訪問が必要だった政府機関
重要なのは、すべての手続きに本人が出向く必要はないという点だ。弁護士に代行してもらえる手続きは多く、本人が直接対応すべき場面(直接の本人確認・面談が必要な場面)は限られていた。これは時間の節約という意味で非常に大きい。
04一番大変だったBIN・BIDA手続き
BIN(Business Identification Number)は税務上の登録番号で、輸出入ビジネスには必須。BIDA(Bangladesh Investment Development Authority)は投資関連の許認可を管轄する機関で、特に外国資本が関わる事業では重要な手続きとなる。
- BIN・BIDA関連は書類の往復・確認に時間がかかる。「すぐ終わる」と思わないこと
- 4ヶ月という期間も、迅速に進んだケースの方だと考えるべき
- 事業開始のスケジュールには、必ず数ヶ月のバッファを設定する
- 弁護士が手続きの進捗を把握しているため、定期的に確認を取ることが重要
05弁護士の役割と費用
弁護士費用約15,000タカ(約19,000円)は、バングラデシュの事業登録手続き全体を考えると非常に「コスパが良い」投資だ。複雑な行政手続きの多くを代行してもらえることを考えれば、弁護士を雇わない選択肢はほぼないと言っていい。
06外国人投資の規制について
これは非常に重要なポイントだ。事業の名義人が現地人(バングラデシュ国民)である場合、外資規制の対象外となり手続きがシンプルになる。一方で、外国人が直接出資者・パートナーとして名義に入る場合は、BIDA登録などの追加手続きが必要になり、手続きはより複雑化する。
07総費用——全項目を公開
登録料・ライセンス料を含めた総費用を、すべて公開する。
| 項目 | 費用(タカ) | 円換算目安 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 営業許可証(トレードライセンス) | 50,000 | 約64,000円 | 事業の基本許可証 |
| DCCI(ダッカ商工会議所) | 50,000 | 約64,000円 | 商工会議所登録 |
| BIDA(BARVIDA) | 70,000 | 約90,000円 | 投資開発庁登録 |
| BIN(納税者番号) | 2,000 | 約2,600円 | 税務登録番号 |
| IRC(輸入許可証) | 50,000 | 約64,000円 | 輸入業務の許可証 |
| 総費用(弁護士費用除く) | 222,000 | 約284,000円 | — |
| 弁護士費用(別途) | 15,000 | 約19,000円 | 手続き代行 |
| 総合計 | 237,000 | 約303,000円 | — |
※1BDT≒1.28円換算(2026年6月時点)。費用は個人事業(Proprietorship)形態の実例であり、株式会社設立の場合は異なる。
08これから始める人へのアドバイス
- 事業形態を最初に決める:個人事業・パートナーシップ・株式会社のどれが自分の状況に合うか、弁護士と相談して早めに決定する
- 信頼できる現地パートナーを見つける:名義・手続き・現地対応すべてにおいて、パートナーの信頼性が事業全体を左右する
- 弁護士は必須コストと考える:1.5万タカ程度の弁護士費用は、複雑な行政手続きを考えれば十分に安い投資
- スケジュールに4〜6ヶ月のバッファを持つ:「すぐ始められる」という前提でスケジュールを組まない
- 総費用22万タカ+αを予算化する:登録費用だけでなく、その後の運営資金も含めた資金計画を立てる
- 市場調査を先に行う:登録後にビジネスを考えるのではなく、登録前に市場・競合・利益率を把握しておく
09よくある質問(FAQ)
10まとめ
バングラデシュでの事業登録は、「複雑だが、不可能ではない」という言葉が最も正確だ。
- 個人事業(Proprietorship)形態を選択。現地パートナー名義のため外資規制対象外でシンプルに
- 登録完了まで約4ヶ月。BIN・BIDA関連が最も時間を要した
- 本人が訪問したのは営業許可事務所とBIDA事務所のみ。他は弁護士が代行
- 弁護士費用は約15,000タカ——複雑な手続きを考えれば「安い投資」
- 総費用は約222,000タカ(弁護士費用別)、合計約237,000タカ(約30万円)
- 市場調査・資金計画・誠実さと透明性が、登録後の事業成功の鍵